2015年10月31日土曜日

ジャルダン・ホテルの夕食


 ウユニ初日の宿泊は、ウユニのダウンタウン地区にあるホテル、「ジャルダン・デ・ウユニ(Jardines de Uyuni、ハルディーネス・デ・ウユニ)」。

 夕食もツアーに含まれていて、このホテル内のレストランでいただく。

 宿泊者は大勢いるが、ホテルのレストランでの夕食を利用するのは、我われ3人と、もう1組(5人組み)だけのようだ。


 飲みものを聞かれたので、昨夜と同じく、ラ・パスの地ビール「ワリ(Huari)」(20.00Bs、約360円)をもらって、乾杯する。


 ビールを飲んでいるところへ、まずはパンとスープが出される。


 スープは、野菜を煮込んだもの。昨日、ラ・パスでも思ったんだけど、こっちの味付けは、素材の味わいを活かす薄味で、日本人の舌にもよく合う。スープもうまいなあ。


 スープ以外の料理は、ブッフェに並べているので自由に取って食べてくれという。

 ここにずらりと並んでいるのが、我われ3人用だ。


 手前の副菜、主食の部分は野菜中心。トマトとキュウリ、大粒のトウモロコシとチーズ、ゆでたニンジン、千切りのキャベツ、そして豆ごはんだ。

 野菜が多いというのも、日本人にはうれしい。ブラジルでは、(自分たちであえてサラダを注文したりしない限り)野菜はほとんど出ないもんね。


 主菜の1品めは、リャマ肉のステーキだ。このあたりでは、食事の主役はリャマなんだそうな。


 もうひとつの主菜は、鶏肉のクリーム煮。クリームシチューのような感じで、香りもいい。


 これらをワン・プレートについでいただく。

 ウユニ(ボリビア)の料理、私は大好きだなあ。


 デザートはなくて、最後にコーヒーをいただくと、お湯だけ入ったコーヒーカップと、インスタントコーヒーのセットが出されたのには笑った。

 ブラジルのようにコーヒーの産地じゃないから、コーヒーにはあまりこだわりがないんだろうな。

 食事を終えると午後8時半。今朝は3時半ぐらいの起きたので、すでに17時間も起きていることになる。

 長い1日だったなあ。

 明日の出発時刻は、午前10時とゆっくりめ。今夜はゆっくりと休もう。

インカ・ワシ島(3,742m)登頂


 標高3,742m。富士山(3,776m)とほぼ同じ高さにあるインカ・ワシ島の山頂を制覇した!

 とはいうものの、このあたりのウユニ塩湖の標高が3,680mだから、自分の足で登ったのは、ほんの62mである。

 しかしながら、なにしろこんな高度なので、高山病になりそうなほど空気が薄い。62mを登るのも、休み休みのひと苦労なのである。

 たかが62m、されど62m。21階建てのビルの屋上まで、自力で登るようなもんだからねえ!


 ウユニ塩湖からの相対的な標高が62mのインカ・ワシ島、塩湖側から見ると、横に長い島のように見える。


 島に入るとすぐに案内板があり、ガイドさんが、ここまでどういう経路で来たのかとか、塩湖全体との位置関係、インカ・ワシ島のことについてなどを教えてくれる。

 我われは今朝7時前にウユニ空港に到着し、すぐにその近く、ウユニ町内のホテルに荷物を預け、コルチャニ村を経由して、ここインカ・ワシ島までやってきた。


 グーグル・アースで確認すると、こんな感じ。約120km×約100kmの塩湖は、やっぱりでかい!


 塩分濃度の高い土地なので、普通の植物は育ちにくいらしく、あるのは棒状にのびるサボテンだけといった景色である。


 少し登っただけで、ウユニ塩湖全域のランドマークと言っていいトゥヌパ火山(Volcán Tunupa、ヴォルカン・トゥヌーパ)がよく見える。


 それにしても、島の上から見ると、ますます本当の島のように見えるなあ。下に広がっているのが、塩の平原だとは思えない。


 そして山頂に到着。到着したときは、大勢の人がいたのだが、すぐにみんなが下山し始めたため、我われ3人だけで山頂を独占しているような写真が撮れた。


 しばらく山頂で休憩したあと、我われも下山を開始。


 下山途中にあるこのサボテンが、島内でいちばん高いサボテンなんだそうだ。高さは約9メートルある。

 サボテンの成長速度は1年間で1センチぐらいだそうなので、100年で1メートル。9メートルに達するには、900年もかかるってことだ。


 眼下に駐車場が見えてきた。


 車に乗り込もうとすると、そのすぐ手前に水たまりができていた。

 ウユニ塩湖の表面の塩を取ると、すぐにこんな風に水たまりができるんだそうな。もちろん塩分濃度が高い塩水である。

 表面はカチカチに乾いてるんだけど、その下は、水分もけっこう多いんだね。


 そしてまた、塩の平原を時速100キロ以上で走る走る走る。


 40分ほど走ったところで、いろんな国の国旗がずらりと並んだ建物が現れた。


 ここはウユニ塩湖内の唯一のホテル、「プラヤ・ブランカ(Playa Blanca)」だ。ただし、現在は塩湖の保全のために、宿泊は禁止になっているとのこと。


 ツアーによっては、ここで昼食を取ったりするんだそうな。

 ホテルは地面はもちろん、柱や壁、イスまでもが塩のブロックでできている。


 この奥が客室だけれど、その客室や、手前に置かれている像もまた塩でできている。


 これが塩湖から切り出してきた塩のブロック。

 木の年輪と同じように、雨季と乾季を繰り返すことによって、1年ごとに年輪のような層ができている。

 白い部分が雨季の部分、茶色っぽい部分が乾季の部分なんだそうな。


 ホテル内には、ウユニ塩湖がどうやってできたのかを説明する図も掲示されている。


 ホテルのすぐ近くには、やはり塩で作られた巨大なオブジェもあった。

 雨季になって雨がどんどん降ってくると、ホテルもオブジェも、じわじわと溶けちゃうんじゃないのかなあ。どうなんだろう?


 再び車に揺られること1時間。午後5時に、ウユニ町内のホテルに到着した。

 夕食(午後7時予定)までの間、ここでひと休みだ。

トリック写真にチャレンジ!


 ウユニ塩湖と言えば、トリック写真が有名。

 どこまでも白い塩原が続いているので、遠近感のない写真が撮れるのである。


 冒頭の写真は、こんな風に撮っている。手前にコカコーラのボトルを置いて、そのはるか先で、ボトルを押しているような格好をしているのだ。


 同じような感じで、両手の上でバランスをとっているような写真を撮ったり、


 フォークとナイフで食べられそうになってる写真を撮ったりすることができる。


 ウユニ塩湖のあちこちで、大勢の人たちがトリック写真にチャレンジしている。

「ウユニ塩湖 トリック」での画像検索結果(google)

 だから、googleで検索すると、トリック写真がたくさんヒットする。

HISサイトの画像(http://www.his-j.com/tyo/zekkei/uyuni/

 ところで、ウユニ塩湖と言えば、上の写真のような「天空の鏡」というイメージも強い。

 このような光景を見ることができるのは、12~1月の雨季のとき。

 このとき、ウユニ塩湖の表面には、約20センチほどの水が張るのだ。

 ただし、この時季には、その水のせいで、湖のまん中のほうまで車で行くことはできなくなる。

 ここインカ・ワシ島(Isla Inca Washi)にも、雨季には来れないのだ。

 本当は乾季と雨季の2回、ウユニ塩湖に来るのがいいんだろうな。ちょっと遠いけど……。

塩湖の上でピクニックランチ


 さあランチタイムだ。食事はツアーのドライバーが用意してくれており、ガイドさんと一緒に、食事の準備をしてくれる。


 ずらりと並ぶのは、この地方での典型的なランチメニューだ。


 主食のキヌア(quínua)は、アワ(粟)、ヒエ(稗)などと同じく、雑穀の一種だ。

 コロンビアからボリビアにかけてのアンデス山脈原産。3千年前ぐらいから栽培されていたという。

 3,700メートルの高地にあり、土壌の塩分濃度が高いこの地方では、他の作物が育たず、キヌアが唯一の農作物なんだそうな。


 そして、アンデスと言えばジャガイモ。ここボリビアと、ペルーの国境にあるチチカカ湖の畔が原産地だ。


 主菜はリャマ(lama)の肉。焼き鳥のように串に刺して焼いたものだ。

 キヌア、ジャガイモ、リャマ。この3点が、ウユニ地方の代表的な食材で、毎日のように食べられている。


 その3点の他に、ゆで卵やチーズ、ピクルス、缶詰のイワシなどを、自分の好きなだけワンプレートに取って、パン、コカコーラも添えてピクニックランチである。


「せっかくだから、ゆで卵は、ウユニ塩湖の塩で食べよう!」

 とI重さん。地面に手を伸ばして、きれいな部分の塩を取り、ゆで卵にパラパラっとふって食べた。

 なにしろ、この地面は、一面がすべて塩だからなあ。塩に困ることはないのである。

 しかも、その塩が、ほんのりと甘みを感じるほど美味しいんだから、言うことなしだ!


 最後は、熱いコーヒーで〆て、ウユニ塩湖上でのピクニックランチ終了。

ウユニ塩湖の塩平線


 さあ、いよいよウユニ塩湖(Salar de Uyuni、サラル・デ・ウユニ)である。

 見わたす限り、塩、塩、塩、塩、………。

 はるか彼方には、水平線、地平線ならぬ、塩平線が見える!

 ウユニ塩湖の大きさは約120km×約100km。面積にして約1万2000km²。

 琵琶湖の大きさが約63km×約23km、面積が約670km²だから、ウユニ塩湖はなんと琵琶湖18個分もの大きさなのである。

 瀬戸内海だって約450km×15~55km、面積が約2万2000km²なので、その半分以上の大きさの湖ってことだ。

 しかもそれがすべて塩に覆われているというんだから、ものすごい。その量、約20億トンだって!

 さらにすごいのは、その高低差。こんなにも広い塩湖全体の高低差が50センチしかないんだそうな! つまりここは「世界でもっとも平らな場所」なのである。

 こんな塩の平原が富士山ぐらいの高さのところに広がってるんだから、おもしろいよなあ。


 さっきまでガタガタ道を走っていたのに、急に車がまったく揺れなくなったと思ったら、そこがウユニ塩湖だった。

 塩湖の入口近くには、高さ1mほどの塩の山がいくつも作られている。

 食用の塩を作るために、塩湖の表面の塩を削り取って山積みし、乾燥させているんだそうな。


 塩の山を見たあとは、湖のちょうど中央にあるインカ・ワシ島(Isla Inca Washi、イスラ・インカ・ワシ)を目指して走る走る走る。

 時速100キロ以上の速さで走ってるんだけど、まわりに見える景色はちっとも変わらない。


 車の右側(北方向)に見えているのは、ウユニ塩湖と切っても切り離せないトゥヌパ火山(Volcán Tunupa、ヴォルカン・トゥヌーパ)だ。

 数百万年前にアンデス山脈が隆起したとき、大量の海水が、そのまま山の上に取り残された。この海水が太陽の光と、火山の熱で乾燥し、塩湖になったのである。

 ウユニ塩湖に入ってしまうと、まわり中、見わたす限り真っ白な塩原なので、方向が分からなくなってしまう。

 地元の人たちは、このトゥヌパ火山や、クスコ火山(ペルーのクスコとは無関係)、クスーニャ火山などを目印にしながら、自分が進んでいる方向を見極めるんだそうな。

 瀬戸内海の漁師さんが、島や山を目印に方向を知るのと同じようなものなんだろうな。

 ちなみに地元では、トゥヌパ火山とクスコ火山は夫婦と言われている。トゥヌパが女性で、クスコが男性。

 トゥヌパが妊娠しているときに、クスコは、愛人クスーニャ(=クスーニャ火山)と仲良くなった。

 トゥヌパが産んだ子はすぐに亡くなり、トゥヌパは嘆き悲しんだ。

 ウユニ塩湖は、トゥヌパの流した涙と母乳からできているというのが地元の伝説なんだって。

 だから地元ではこの湖は、ウユニ塩湖ではなくて、トゥヌパ塩湖(Salar de Tunupa、サラル・デ・トゥヌーパ)と呼ばれている。


 なにも景色が変わらない塩原を、時速100キロ以上で1時間以上走ったころ、遠くにポツンと島が見えてきた。あれが目指すインカ・ワシ島なんだという。

 みんなが同じ道を走るから、塩湖の上にはなんとなく轍(わだち)ができているが、ここが道というわけではない。

 この轍からはずれたところを走っても、舗装道路を走るよりも滑らかなぐらい、スムーズに走れるのである。つまり塩湖の中は、どこでも自由に走り回れるってことですね。


 これまで塩平線しかみえなかったところに、ポツンと黒いインカ・ワシ島が見え始めてからは、走るにつれて、その島の姿がどんどん大きくなってきた。

 その島の、右端に突き出した岬を回り込むと……。


 インカ・ワシ島の駐車場に到着。まるで、島の港に小舟で入っていくような感覚だ。

 そして、ちょうどここでランチタイムである。